”菜の花畑に 入日薄れ 見渡す山の端 霞深し 春風そよ吹く、空を見れば 夕月かかりいて 匂いあわし”おなじみ童謡の『おぼろ月夜』の歌詞である。私が小学生の時代、母親がよく口ずさんでいた。この歌を聴くと昭和の時代の原風景が脳裏に浮かび、春が近づいているんだなあと感じてしまう。
また、”春 眠(しゅんみん)暁を覚えず”、孟浩然「春暁」の詩もこの時期になると思い出す。
春眠 暁を覚えず/処々 啼鳥(ていちょう)を聞く/夜来風雨の声/花落つることを知る多少/と読む。訳としては、心地よい春の眠りに夜の明けるたのも知らず、うつらうつらしていると、あちらこちらから鳥の鳴き声が聞こえてくる。昨夜は雨や風の音がしていたが、咲き始めた花はどれほど散っただろうかとなる。
昔から私たち日本人によく親しまれた詩、というよりは使われていた言葉でもある。平易な表現のなかにも、浅い春の朝の気配が感じられて何とも言えない気分になる。日本人であることを実感される詩でもある。たまにぼんやりと情緒を感じていたいものだ。




