漢詩に『春宵一刻値千金(しゅんしょういっこくあたいせんきん)』蘇軾(春夜)というのがある。まさにその詩の季節を迎えているが、昨日までは、冬に逆戻りしたような天候であったが一転春を思われるような感じだ。
この詩の内容は、春の宵の一時には、千金のねうちがあると言っている。春宵一刻値千金/花に清き香あり 月に影あり/歌管 楼台 声細々として/鞦韆(しゅうせん) 院落夜沈々たり/と読むそうだ。
春の宵の一時には値千金のねうちがある/花は清らかな香りを放ち 月はおぼろげにかすんでいる/高殿から歌声と管弦の音がかすかに聞こえ/中庭にブランコが下がり、夜は深々として更けてゆく。こうして読んで、いると今の時期より桜が咲いて散り際の時期の詩のような感じも受ける。物憂い春の夜のひとときを詠じたしとして、昔から親しまれてきたし、高校時代の漢文でも教えられた。つい「菜の花畑に入日薄れ・・・・・・・・・・・・・」と母が良くこの時期に口ずさんでいたのを思い出す。