私の年になると（先輩方には少し生意気を言うようことになるが・・・）定年を迎え、第二の人生と張り切ってチャレンジする人もいれば、趣味をはじめとして老後を過ごそうか考えている人もそれぞれである。私はどちらかというとまだ『百里を行く者は、九十里を半ばとす』といった心境である。自分の思いとすれば九十里までも着てはいないが、常にこの言葉を胸に刻んでいる。言葉の意味は百里の道を行くものは、九十里に達したときようやく半分が過ぎたと考えるぐらいでよいと教えている。
仕事をするときには、最後が肝心だから、終わりのほうで気を緩めると失敗することが多いのでという戒めでもある。こういったことはよくある、仕事を受注したと思ったら「新港さん、本社からこの物件については、他社とのつながりがるので今回は申し訳ありませんが・・・・・・・・・・。」といった具合だ。下駄をはくまではわからない、ぬか喜びは禁物である。
吉田兼好の『徒然草』にも、木こりが弟子の木登りを見守る話がある。高い梢にのぼってもなんともいわないのに、降りてきて地面に近くなった時に”危ないぞ”と声をかける。この警句と同じで、終わりの方で気を緩めると思わぬ失敗をすると言っているのである。
