今日も寒い朝であった。車を走らせながら、息を弾ませ登校している学生たちを見ていると、ふと清少納言の『枕草子』の一説、冬はつとめて・・・・・・・・・・が頭に浮かんだ。冬は早朝こそおもしろい(情緒があってい良い)。雪の朝も、下野朝も素敵である。寒さ厳しい朝に、火を急いでおこして、あの部屋、この部屋にいそいでただしく持ち運ぶ姿もいかにも冬らしい感じがする。寒い冬は顔がピリピリするほど冷え徹のも良い。炭のにおい、赤くおこった火が顔にかかるほてり、足の冷たさ、感覚、臭覚もすべて、冬の朝の快感がこの随想には描かれている。
昼になって白くくずれていく火は、もう冬らしさの感じは失われているので趣は無くなっている。
私の世代くらいであろう七輪に炭を載せ、餅を焼いたりしたり灰を変えたりしたことの記憶があるのは。この感覚は何となくその景観から理解ができるし、季節感が満載である。食にしても生活環境にしてもそれぞれに季節感を感じるものがたくさんあった。それにしても冬の早朝は、冷え徹寒さの中でピーンと張りつめたこの緊張感がいいもんだ。